熟練の技と緻密な構成が生み出す正統派フレンチ | 美味案内

美味案内へ

今、行くならこのお店

今、行くならこのお店

ニューオープン・レビュー

Remerciments OKAMOTO (南青山/フレンチ)
Remerciments OKAMOTO
(南青山/フレンチ)

2012/8/7オープン

熟練の技と緻密な構成が生み出す正統派フレンチ

メインの「フランス産鳩のロースト 北海道産の野菜とともに」。芳醇な鳩の香りと旨みに負けない、力強い味わいの野菜はエシャロットのオリーブオイルコンフィなどひと手間加えている

街の雰囲気を知っていて、静かで落ち着いた場所。南青山3丁目を新たな出発地に選び、『Remerciements(ルメルシマン) OKAMOTO』がオープンした。扉を開けると黒と白の絨毯、アイボリーの壁に柔らかな灯り、そして石の壁がそれとなく温かみを添える。ここは、熟練の技を持つ岡本英樹シェフが腕を振るうフレンチレストランだ。


シェフのスペシャリテ「ポワローのテリーヌ、トリュフドレッシング、地鶏のレバームース添え」。ポワロー葱を好きだというシェフが極めた絶妙なバランスのひと皿

建築家を目指す傍ら、アルバイトをしたコーヒーショップで料理の楽しさを再発見し、料理人を目指すことになったという岡本シェフ。紹介を受け、札幌『ホテルニューオータニ』で働いていた時に雑誌で見かけたフレンチの巨匠『シェイノ』の井上旭シェフに惹かれ、門を叩いた。それからの道は、井上シェフと付かず離れずながら固い絆の元に、鍛錬の積み重ねが続く。30歳になる前には「本場を知りたい。感じたい」という思いで渡仏、パリを皮切りに地方の星付きレストランを回り、四季を通して本場を体感してきた。2011年まで料理長を務めた『ドゥ・ロアンヌ』では、井上シェフの料理を基本にしながらも、岡本シェフの感性や経験に培われたエッセンスを加え、独自の料理を生み出す。そして満を持して独立へと至った。


「ゆったりと寛いでほしいですね」と岡本シェフ。ドレスコードはなく、肩肘はらずに純粋に料理と向き合える、正統派フレンチレストランだ

ベテランシェフが手がけるひと皿は、いたってシンプルに見える。スペシャリテのひとつ・前菜「ポワローのテリーヌ」は、ポワロー葱と地鶏のレバー、トリュフというたった3つの素材で構築。「以前はもっといろいろと足したこともあった」が、今は原点回帰、元に戻ったのだそう。シンプルだからこその絶妙なバランスの上に成り立つ。岡本シェフが大事にしているのは「バランス」。それぞれの素材の香りや旨み、食感まで、五感で楽しんでもらえるように緻密な調整を繰り返す。また、素材は北海道産をメインに据える。出身地なので知り合いが多いということもあり、人づてに広がった素晴らしい生産者との出会いがこの店の料理を支えるのだ。それゆえ、メニューはランチ・ディナーともにおまかせのみ。日々変わる食材との出合いを、シェフを通じて、お客さんに届けてくれる。


「自分の宿命は“1990年代の本場におけるフレンチを次の世代に伝えること”」と言い切る岡本シェフ。とはいえ、もちろん保守的ではない。現在でも、一つひとつ夢中になって、試行錯誤を繰り返し、進化を遂げている。その料理に乗せるのは、生産者の思いを受け継ぎ、「命をいただいている」という感覚と生産者に対する感謝。フランス語で“感謝”を意味する『ルメルシマン』を店名に掲げたのも、今まで関わってきたすべてのものに対する思いから。そして、これからの“感謝”を私たちが味わうことで返すことができるレストランなのだろう。

あえて色数を抑えたシンプルなデザインの店内は程よい広さ。食器やカトラリーに至るまで、シェフの細かなこだわりが反映する、まさしく岡本シェフの城

 
Data
Remerciments OKAMOTO (ルメルシマン オカモト)
住所: 港区南青山3-6-7 b-town 1F
電話番号: 03-6804-6703

撮影:山村佳人  取材・文:伊勢嶋暢子(編集部)
このページのデータは2012年10月31日現在のものです。

ほかの新店を探す

新宿ごはん

「美味案内」に掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)は、ジョルダン株式会社の承諾なしに、無断転載することはできません。

Copyright c 2013 Jorudan Co.,Ltd. All Rights Reserved.