レトロな路地裏で酔いしれる 本場シチリアの港町料理 | 美味案内

美味案内へ

今、行くならこのお店

今、行くならこのお店

ニューオープン・レビュー

シチリア屋 (白山/シチリア料理)
シチリア屋

(白山/シチリア料理)

2014/9/9オープン

レトロな路地裏で酔いしれる 本場シチリアの港町料理

ポルチーニと甘海老のジョランダ

アラカルトのパスタより「ポルチーニと甘海老のヨランダ」1700円。ポルチーニの風味や香りが引き立ち、素材の旨味がじんわりと広がるひと皿。片側がフリル状になったパスタはソースがよく絡む

 足を踏み入れると、昭和にタイムスリップしたのかと錯覚してしまうような街並み。白山通りから1本入っただけなのに、静寂とレトロな空気が漂う。その路地裏で『シチリア屋』の看板を見つけ引き戸を開けると、目にも鮮やかなブルーの壁、温もりに溢れるテーブルたちが出迎えてくれる。ここは、店名そのままシチリア料理専門店、なかでも港町・ミラッツォの郷土料理を楽しめるお店として9月にオープンした。


前菜盛合せポルチーニと甘海老のジョランダ「シチリアセット」から「冷菜盛り合わせ」。「ウニのブルスケッタ」「ペペロナータ」「イワシのベッカフィーコ エオリア風」「レモンのサラダ」

 オーナーシェフの大下竜一氏は、横浜の名店『SALONE 2007』など、さまざまなスタイルの店で腕を磨いてきた。いざ、自分の店を持とうと考えた時に「生涯かけて続けられる、自分のキャラクターに合った店は何だろう」と振り返った。頭に浮かんだのは郷土料理、そして以前に旅行で訪れたことのあるシチリアだった。そこで、現地へ渡り、1年7カ月の間、シチリア料理を追求。ギリシャ、スペイン、トルコなど多様な文化が混ざり合う風土と豊かな食材によって、独自の食文化が育まれたシチリア料理。実際はもっと細分化していた。シチリア料理といえば魚介が浮かぶが、ネブロディ山脈の黒豚など上質な食材の宝庫ゆえに、肉料理も豊富だ。


オーナー大下シェフ(右)とサービスの加藤さん。明るく和やかな雰囲気はシェフの人柄そのものを反映。シェフがシチリア時代から続けているブログのファンも多い

 そこでは、日本で習得した調理法を覆されることもあったという。「例えばイタリア料理に欠かせない“ソフリット”。刻んだ香味野菜などをオリーブオイルでじっくりと炒めて甘みを出す、隠し味かつベースとなるものですが、この店では刻んだ香味野菜を茹でてオリーブオイルを混ぜるという方法でした。味が決まらないのでは、と不安でしたが、結果として、風味や香りを損うことなく全体的に軽やかになったんです」。修業先のシェフ・フィリッポ氏の作る賄いもメニューに取り入れた。現地で吸収したことを余すことなく皿の上に表現している。


 料理の提供スタイルはちょっと変わっている。まず、前菜の盛合せとパスタの「シチリアセット」をオーダー。お腹に余裕があれば、パスタや肉料理やドルチェを追加できる。シナモンのきいた「レモンのサラダ」、ペコリーノチーズ、セモリナ粉100%の香草パン粉など開いたイワシで挟んで揚げ、タマネギのソースをかけた「ベッカフィーコ」など、前菜の一つひとつが、味わったことのないおいしさ。香りと風味が引き立ち、料理の底力がじわじわと伝わってくる。知っていたはずのイタリアンとは全く異なる解釈の料理に思えるのだ。「ミラッツォ料理を基本として作ることを大切にしています」と大下シェフ。シチリアワインも3000~4000円と手頃な価格で用意。シェフの真摯な思いとワクワクする高揚感に、またすぐ訪れたくなる 。人に教えたくない、特別な一軒になりそうだ。


店内

木材に蜜蝋を塗るところから始めたというシェフの父親による手造りのテーブルが並ぶ。壁には恵比寿『ベヴィトリーチェ』にあった絵も飾られている。人との縁や出会いがぎゅっと詰まっているのだ

 
Data
シチリア屋
住所:文京区白山1-5-5 MC白山ビル1F
電話番号:03-5615-8713

撮影:山村佳人  取材・文:伊勢嶋暢子(編集部)
このページのデータは2014年11月20日現在のものです。

ほかの新店を探す

新宿ごはん

「美味案内」に掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)は、ジョルダン株式会社の承諾なしに、無断転載することはできません。

Copyright c 2013 Jorudan Co.,Ltd. All Rights Reserved.