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ニューオープン・レビュー

蕎麦と酒 旭 (西麻布、広尾/蕎麦)
蕎麦と酒 旭
(西麻布、広尾/蕎麦)

2012/4/27オープン

一流店仕込みの蕎麦に柔軟な発想を合わせて

「賀茂茄子揚煮せいろ」1600円。香り高い二八蕎麦と、素揚げにした京都産賀茂茄子の甘みとジューシーさ、しっかりキレのいいつゆが絶妙な味わい

西麻布交差点から外苑西通りを広尾方面へ進むと、大きな赤い提灯が目に飛び込んでくる。そこには“蕎麦”の二文字。その庶民的な印象とはガラリと変わり、店内はシックで落ち着いた空間で、ギャップの大きさに驚いてしまうほど。蕎麦打ち台、ゆったりとしたテーブル席、そして奥には囲炉裏を設えた個室もある。切り出した石や玉砂利を配しつつも、木の温かみが溢れ、堅苦しくないモダンな雰囲気に満ちている。


特別に分けてもらったという希少な「まぐろベーコン」800円。鉄分を含む独特の味わいは、日本酒にもワインにもぴったり

寿司割烹『西麻布いしい』でランチに提供していた蕎麦が好評だったことを受けて、深夜まで楽しめる蕎麦屋としてオープン。それもそのはず、腕を振るうのは銀座の名店で研鑽を積んだ蕎麦職人。だからこそ、蕎麦はすべて手打ちで、メニューによって「十割蕎麦」「二八蕎麦」「太打田舎蕎麦」と使い分け、作り置きはしない。「かえし」は2種類を用意。カツオのみを使った江戸前の「本がえし」はキリッと。昆布、煮干、椎茸など素材の旨みを凝縮させた「白がえし」は、優しくじんわりと広がる上品な味わいだ。また、基本をしっかりと押さえた上でのアレンジメニューも楽しい。たとえば「鴨せいろ」ならぬ「豚せいろ」は、豚の角煮を炙り、ラー油入りの甘辛いつけだれでいただく。「奇をてらったものを作るのではなく、自分たちの中で試行錯誤を重ね、新しいおいしさを提供していきたいですね」と料理長の向井氏は語る。


入り口の提灯は反対車線を走っていても目に留まる存在感。店内の雰囲気とのギャップも演出のひとつ

一品料理のラインアップも興味深い。蕎麦屋の定番「板わさ」「玉子焼」などに加えて、目を引くのは「旭のポテサラ」。2種類のジャガイモを使い、炙った鴨肉を添え、焼きネギのソースをかけるという完成度の高さで、早くも人気なのだとか。『いしい』と同じものを使うので、魚介のおいしさはもちろん保証済み。ともに味わうお酒は日本酒や焼酎に加えてワインも充実。フランス、イタリアからニューワールドまで、自由な発想で合わせられるのは、食の楽しみ方を熟知している客が多いからなのだろう。


「お客さんには何より楽しんでもらいたいですね」という向井氏の言葉からも、お客の一人ひとりと真摯に向き合う姿勢が伝わってくる。若いスタッフを中心に、平日は朝5時まで営業。おいしいものを食べて、元気になって、また自然と足が向く…そんなお店を目指して新たなる一歩を踏み出した。

モダンでほどよい大人っぽさに満ちた居心地のいい店内。奥の個室は囲炉裏を囲む掘り席になっていて、最大16人まで利用できる

 
Data
蕎麦と酒 旭(ソバトサケ アキラ)
電話番号: 03-3497-5299
住所: 港区西麻布3-13-4 LA・RES 西麻布 1F

撮影:山村佳人  取材・文:伊勢嶋暢子(編集部)
このページのデータは2012年6月29日現在のものです。

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